第 97 回 (2021-5-12 開催)
世話人: 清野 健 先生 (大阪大学 大学院基礎工学研究科)参加者: 65 名
会場: オンラインミーティングZoom
講演内容
山口 聡一朗 先生 (関西大学システム 理工学部 教授)
「乳がんマイクロ波CT画像診断法の開発」食文化や生活習慣の欧米化が進むにつれて,乳がんの罹患者数・死亡者数が年々増加しています.乳がんは早期発見で完治できる病気ですので, 定期的な乳がん検診が重要です.本研究ではX線被曝や圧迫苦痛を伴うことなく, 専門医や医療従事者でなくても安全に診断できる乳がん画像診断装置を開発しています.マイクロ波を用いて医療診断を行う仕組み, ハードウェア開発, CT画像再構成, 技術的課題, 等についてご紹介します.
池田 聖 先生 (大阪大学 大学院基礎工学研究科 准教授)
「拡張現実感における奥行き知覚整合技術」現実シーンにCGを重畳表示する拡張現実感の基本課題は,幾何学的・光学的・時間的整合性だと言われてきた.しかし,これらの課題は,計算機内で画像を生成しディスプレイに提示するまでの経路上のみで生じる課題である.人の視覚や知覚,拡張現実感の応用先や利用方法を具体的に考えることで,上記基本課題には明らかに当てはまらない別の共通課題「奥行き知覚整合」があることが分かる.本発表では,奥行き知覚整合の必要性,これまで試してきた解決策を紹介し,今後の展望などを述べる.
武石 直樹 先生 (大阪大学 大学院基礎工学研究科 助教)
「血液を始めとする生体内複雑流体の階層的な構造・機能の解明に向けた数理モデリングと解析」分子スケールにおける血中のタンパクの凝集や,細胞・組織スケールにおける血球流動,そして,脳血管をはじめとする臓器スケールでの血流分配の仕組みを階層的に捉え,各階層での流動と物性,あるいは生体機能の創出の仕組みを理解する数値アプローチと解析について概説する.また,流体解析の立場から呼吸不全などの臨床診断を支援するバイオエンジニアリング研究についても触れたい.